よみがえった湿地

里山の湿地は、開発によって埋め立てられたり、潅木や雑草が伸びるままに放置されて、少なくなってきています。龍泉寺(岡山市北区下足守)の湿地では、潅木や雑草が生い茂っていましたが、、湿地の植物が長年にわたって細々と種を残していました。
「龍泉寺の湿地の保護活動」は、加藤氏のふとした出会いから始まりました。「龍泉寺の自然を守る会」が発足するまでの加藤氏の活動記録を紹介します。

最初に撮影したトキソウ
撮影:加藤喜明 2008年6月1日

同窓会での話が

○年○月、卒業後50年の同窓会がありました。同窓会に出席していた加藤氏が、近況報告で「山野の草花を観察し、カメラで撮影することを趣味としている」ことを話しました。
○月、同窓会に出席していた恩師の藤原先生から、「龍泉寺に珍しい花が咲いている・・・」との連絡がありました。
潅木が茂り、背丈ほどある枯れ草の間から、薄赤紫色の「トキソウ」の花を発見しました。身近で手付かずの場所に、トキソウが咲いていることに、驚きと感動を覚えました。

龍泉寺の湿地に魅せられて

8月には、「サギソウ」が咲いているのを見つけました。龍泉寺の湿地で花を観察し、写真撮影を楽しんでいるうちに、湿地に咲く花の自然環境などについて詳しいことが知りたくなりました。
「鬼城山ビジターセンター」の所長さんに、湿地の野草の保護について色々お尋ねいたしました。

潅木の伐採と下草刈り

湿地は「龍泉寺」の広い境内に点在しています。龍泉寺の住職は、境内にモミジを植栽し育てておられました。龍泉寺の奥さんは、境内の野草を大事にされていました。加藤氏が、龍泉寺さんに、「湿原をよみがえらせるために、潅木や雑草を刈り取りたい」ことをお話ししたところ、快諾され、協力を得ることができました。

保全する前のモミジ谷湿地

保全する前の「もみじ谷湿地」

潅木や雑草を刈り取った後の「もみじ谷湿地」

潅木や雑草を刈り取った後の「もみじ谷湿地」


○年○月、後に、「もみじ谷湿地」と命名することになった湿地の潅木と雑草を刈り取りました。整備後の春には、トキソウが咲きそろいました。
湿地の日照、水、風通しなどの改善を試みましたが、一人で湿地を管理することは困難でした。
恩師の藤原先生と、親しくしている友人に呼びかけ、ボランティアグループ「龍泉寺の自然を守る会」を立ち上げることになりました。


後記・・・

湿地に手を入れたことによりショウジョウバカマなど少なくなった野草もありますが、全体的には種類も数も増え、多くの野草が見られるようになりました。

数十年前には、日常的に見ることのできた野草が、現在では少なくなり、種によっては「絶滅危惧種」に指定される状況になっています。種が、わずかでも残って花を咲かせているような湿地であれば、下草刈りなどで生育環境を整えてやれば、湿地が復元することを体験をしました。

これから先、現在の状態を守っていかなければ・・・と思っています。


最上本山 御瀧 龍泉寺

岡山市北区下足守900  

秋の龍泉寺

秋の龍泉寺  

奈良時代天平勝宝年間に、この地で山岳修行していた報恩大師が創建したと伝えられる。雨乞いの神である龍神様、八大龍王と、豊作の神であるお稲荷様が一体となった民間信仰の霊場だった。
現在の龍泉寺は、幕末期に、日護聖人により再興大成された祈祷寺である。昭和26年に日蓮宗最上教派の本山になり、瀧に打たれる荒行の場として有名で、7月第4週の日曜日「お瀧祭り」がおこなわれる。

龍王池」とミツバツツジ

龍王池とミツバツツジ  

龍王山の水を湛える龍王池は、周囲約2Km ある大きな清らかな池で、八大龍王の聖池として管理されている。
龍泉寺の境内と周辺には、多数の「もみじ」が植樹されおり、秋には美しい紅葉を見せてくれる。樹が育ってきており、知る人ぞ知る紅葉の名所である。
龍泉寺一帯は岡山県立自然公園に指定されている。